ー榛名店はうおかつの1号店なのですね。
はい。現8店舗で最初にできた店舗です。全店の中で売上ベースも一番高く、買い上げ点数、買い上げ単価も一番ということで榛名店を紹介します。現在は「パワーセンターうおかつ」と、生鮮主体の270坪程度の小規模店舗「生鮮市場かっちゃん」の2タイプで展開。榛名店は、オープンして16年ほどで、長く固定のお客様が多く、商圏も広くて深い。半径20キロ以上の中之条市や、高崎の中心街からも逆流してご来店いただきます。また、北軽井沢などの別荘地からも、安くて新鮮ということで常連の方も多いんです。今期8店舗で売上100億円を超えますが、100億の壁はスムーズにはいかなかった。父である社長はじめ母親、兄弟3名で分担して、ようやく全店長を従業員に引き継ぎました。昨年7月に本部を置き、研修とミーティングを行い、徐々に会社らしくなり始めたところです。どんなフォロー体制ができるかも含め、昨年9月から統括制度を導入しています。
ー統括制度とはどのような制度ですか?
各店舗のラインと並列する形で、仕入れを担当する部門統括課という組織を設置しました。店舗の組織で言えば店長と副店長の中間に位置します。役割はバイヤーとほぼ同じですが、バイイングパワーで引っ張るバイヤーの強いイメージとは異なり、各店長、店舗と連動して課題解決に当たるイメージなので、略して「統括」と呼んでいます。たとえば、競合店対策として店長が品揃えや店を変化させたいと考えても限界があるので、統括と連動できる体制にしました。それは、店長自身のレベルアップと、常に競合店の意識を持って、引っ張っていくことを求められるということです。価格戦略では、榛名店だけ下げるのではなく、全店で下げることで競合対策になるので、1店舗が強化すれば、全体的に強化できる、うおかつの相乗効果を期待しています。加えて、お店を熟知しているのは店長なので、常にお客様とふれあって話を聞いて状況が判断でき、それを統括に伝えていくという形にしたいと思います。
ーお客様とのふれあいとは、具体的にどんな方法を取られていますか?
当社には“天の声”というシステムがあります。従業員がお客様から聞いた声を店長に直接伝えたり、その声をデータ化して配付したりしています。社長がお客様の声ということで“天の声”と。お客様のささやきを拾って…。
ーお客様に聞くのではなしに?
そうです。わざわざ聞くと普段考えてないことまで言っちゃう(笑)。毎日来られるお客様も顔見知りになりますので、その時の会話を…。以前アンケートをとりましたが、やはりちょっとした会話のほうが直接的。お叱りも、おほめもありますが、多いのは以前はあった商品やイベントを復活してほしいという声。それらに対応しながら、新しいものも取り入れています。基本的に地域密着ですので、当然、店舗ごとに地元のお客様に対応した品揃えにしていくことも模索中です。
ー天の声は競合店の声も聞こえてきますか?
気を緩めると、あちらの方が安い、このコーナーは高いからあちらでとか…。競合店と比べていただいて、常にそういう状態を作ることでお客様も刺激になり、従業員にも刺激があるんです。それを忘れると、売上は落ちます。
ー競合店の話が出ましたが、事務所の標語に具体的な店名を記されてますね。
榛名店は本当にベイシアさんが近いんです。16年前にここがオープンして以来、対抗して、もう生きるか死ぬかの状況でした。毎日のように価格調査に来る状況の中で、先方は、数十店の1店舗、こちらはこの1店舗だけ。「ここで終わることはできない」という、内田店長を含めて当初から対抗してきた強い気持ちを、全店の競合対策にも生かさなくてはと思います。
(後編へ)