ーベイシアさんとは熾烈な戦いを続けてこられたのですね。
さすがに今はありませんが、榛名店オープン当初は、先方が当店の価格をケータイを使ってその場で伝えたり、メモを取ったりしていました。当時は榛名店1店舗だけの無名企業で、相手さんにとっては、負けては大手としてメンツが立たないということで必死だったと思いますよ。当然こちらも必死でした。
ー大手競合店に対抗して勝つための方法とは?
新鮮で安いことはお客様への最高のサービスというのがうおかつの考え方で、それには仕入れが重要。青果は毎朝チーフと市場のセリに出かけ、市場でミーティングをして安い商品の情報交換をしていますが、さらに開拓を進めて全体を変えていきます。市場も埼玉県の大宮市場など県外も含め広範囲で開拓し、問屋さんも2~3割も増やすことで競争意識が生まれ、大手に対抗できる仕入れができると思います。また、スポット買いなどは手書き伝票に限るとか、経理やシステム上やりづらい部分がありますが、店舗が増えても、単品仕入れや、現金買付など、相手方に合わせた、より柔軟な体制と仕組みを整えるのも今後の課題です。地域密着の企業なので、店舗ごとに地元のお客様に対応した品揃えを常に考え、店長の判断で各店の強みを活かせるよう強化していきたいと思います。
ー出店についてはいかがでしょう。
3店目の倉賀野店からは居抜き出店です。倉賀野はフレッセイさんの後に入り、約2倍の売り上げになりました。居抜きのメリットは初期投資が少ないこと。新規の場合、大体24~25%の利益が必要ですが、うおかつはそれ以下でも大丈夫。その分、競合店と対抗できる余力が生まれます。チェーン店さんはオープン時にチラシを1~2ヵ月打ちますが、先方が気を抜いた頃に、こちらは徐々に売り場を変えたり、チラシを手配りしたりと、じわじわと追いついて突き放す。オープン時が戦いのピークではありません。コストを抑えている分、長期間安くできるので、相手にはいつまでもうおかつと対抗していたら、やっていけなくなると思わせることができるのです。
ー低コストを実践されている事例をお教えください。
チラシは基本的に色も写真も使わず、価格表記のみで全部手作り。榛名店が全体を統括して制作しています。チェーン店さんはきれいなチラシで、掲載商品は安いが、定番が高く、そこで粗利を取るんですね。うおかつではチラシも定番も競合に比べて安くできるよう、ほかにもあらゆるコストを全従業員で見直しています。うおかつ本部も書店を改装した居抜き物件。改装費もほとんどかかっていません。また当社はメンテナンス部という部門があり、常時2名が全店舗を回り、木製の陳列台を作ったり、ちょっとした店舗の改装や修理も手掛けます。大事なのは表面的な安さでなく、あらかじめ低コストの考え方や仕組みを組み立てておくことだと思います。
ー今後の抱負をお聞かせください。
今まで以上、店長がリーダーシップを発揮し、お客様の声(天の声)を吸い上げて、店舗の特長を押し出したい。また、店舗が増えれば、中継機能を設け流通の効率化を図る必要もあります。もう一つは従業員教育。店長はじめ副店長、チーフの教育も教育部だけでなく、私をはじめ役員が会社の方向性を示しながら一緒に勉強していくことを通じて、従業員一人ひとりの顔がわかる教育にしたいと思います。今年も新入社員が入りましたが、各店に配属後は私自ら毎月1回の定期研修を行う予定です。その中で従業員の声をよく聞き、会社に届けることで、人も会社もレベルアップすると思います。年内もう1店舗を目標にしていますが、人が育つと同時に店舗が出せればと考えています。