―パレット足助店の特徴cはどのようなところでしょうか。
1998年、以前青果ショップだった店舗をスーパー業態にして「パレット」としてオープンしました。立地的には、世界のトヨタ発祥の豊田市内にあり、また秋には紅葉で有名な香嵐渓という観光地に位置しています。商圏は、地元の足助町で人口約9,000人2,300世帯と少なく、広域から集客を見込まないと営業ができないことから、豊田市中心部から奥に向かって、下山エリア、旭エリアといった地元に加えて、稲武エリアも商圏に取り込んでいます。それでも全エリアを合わせて人口約19,000人、4,200世帯という状況ですが、ありがたいことに地域のお客様の冷蔵庫代わりとして、シェア40%を獲得しています。昨今は少子高齢化が顕著で、65歳以上が32%を占めるという状況にあり、サッカー台での袋詰めサービスなど、高齢者向けのサービスの充実にも取り組んでいます。また当店は、観光地という特殊な立地ということもあって、広域の観光客もお客様として取り込めるような品揃えや、来店されるお客様に感動の余韻を残す売場づくりとおもてなしを充実させていこうと考えています。
―観光客向けの品揃えとはどのようなものですか。
地元の専門店とタイアップして、地元の特産品を品揃えしてコーナー化しています。この取り組みは地元のお客様にも好評で、人気コーナーとなっています。ちなみに当店ではパレットカードを発行していますが、地元の専門店も同じポイントカード加盟店です。
―以前と変えたこと、新しい取り組みなどについてはいかがでしょう。
オープン時は価格訴求をメインに店づくりを進めましたが、現在は、ちょっと高質を目指して取り組んでいます。数年前は週5回、折込チラシを入れていましたが、現在は折込をやめ、週1回(1週間分)お客様に手配りでチラシをお渡しすることにしました。変更当初は、売上減少が懸念されましたが、幸い売上への影響はありませんでした。商品づくりでは、地元の良さを再認識していただこうと、地産地消を目指し、地域の青果物、近隣の牛肉(段戸牛)の販売を強化しています。先にシェア40%と申し上げましたが、これを維持しさらに支持を増やしていただける店づくりをするには、私は“人原力(人が原因で物事が起きる)”=マナーに則って個々のお客様に個別に対応できる“人間力”、を高めることが必要だと思っています。私どもの店にはマニュアルというものは限りなく存在しません。あるのは身なり、マナーのマニュアルです。広いけれど小さな商圏のお客様に「もう一度来てみたい」と思っていただけるおもてなしをどれだけ提供できるかは、私を含め個々の従業員の“人原力”しだいだと思うのです。また観光のお客様も同様に、どれだけ良い印象をお持ち帰りいただくかは、そのお客様はもちろん、次のお客様にもつながる重要なポイントになると考えています。
―“人原力”を発揮するためのおもてなしということですが。
現在最重点に取り組んでいるのは、さらなる“おもてなし”の強化です。具体的には大きく2つ。まず、従業員がお客様の顔と名前を覚えるということ。パレットカードに印字されるお客様のお名前を利用して、お客様との接点を近づけています。もうひとつ、各部署を超えて、様々な委員会をつくり、より高い“おもてなし”を通じて、さらに魅力ある売場づくりに取り組むこと。例えば、倫理委員会、POP委員会、クリーン委員会、食育委員会、カード委員会、レクレーション委員会などです。私どもが考えていることが実現するか否か、すべては「人」にかかっています。今後も、従業員のやりがい、情熱を高めることを、様々な角度(委員会)で取り組んでいきます。