―ご当地は魚沼産コシヒカリで有名ですが。
小千谷市のある魚沼地方は、豊かな自然と雪国特有の気候風土に恵まれて魚沼コシヒカリ筆頭に、美味しいお米が生まれ育つ地域です。たかのでは、ここで育った産物をお届けしたいという思いからパックごはんの生産を始めました。米どころ小千谷発ですから、少々コストがかさんでも、本当に美味しい伝統の味をと、トレーひとつひとつに米と水を入れて完全無菌状態で直火で炊き上げる方法をとっています。この特許製法は「蒸気加熱加圧方式」と呼びますが、たかの自慢のこの製法によってお釜で炊きたての食感を再現できるのです。
―オリジナル商品はほかにも。
米どころなので、おもちも美味しいと評判です。そのほかには、小千谷名産のそばがあります。小千谷では、ハレの日につるりとしたのど越しのそばを食べる習慣があります。特産の小千谷縮に使う布海苔(ふのり)という海草をつなぎにしたそばです。へぎと呼ばれる木製の器に入れて出すことから、へぎそばとも呼ばれますが、小千谷地方にだけに伝わる珍しいそばが今では新潟を代表する名産のひとつとして、全国へ知られ始めています。これらのたかのPB商品は、おかげさまでギフトとしても人気が高く、スーパー部門で販売する年越しそばは、毎年1,000件近くと人気があります。このように、たかのは小千谷に根ざした食品スーパーであるとともに、パックごはんやそばなどを製造する自社工場を持つ食品メーカーとして、全国のSMやコンビニに商品を卸している企業でもあります。
―商環境についてはいかがでしょう。
小千谷市は高齢化が進み、人口は縮小傾向。また、マーケットはここ10年で、県内・県外の大手SMが出店して様変わりしました。商売の環境は厳しくなったと言わざるを得ません。しかし私たちには、この地に根差しこの地域の人々とともに歩んできた強みがあります。小千谷発祥の店として、他店にはない、他店ではまねのできない商品やサービスをお客様に提供し、そこで差別化を図っていきたい。たとえば、この辺りではお歳暮に新巻鮭を贈ることが多く、年末には一気にその需要が高まります。当店では、仕入れた新巻鮭をそのまま販売するのではなく、まず塩を抜いてからタオルで磨き、また塩をふる、という工程を施します。このひと手間によって、新巻鮭はさらに美味しくなり、毎年、この鮭でなくては、というお客様の熱い支持をいただけているのだと思います。
―移動販売もされているそうですが。
特に中山間部にお住まいのご年配のお客様や、お買い物が困難な方を対象にした、移動販売車による巡回販売サービスです。好評につき現在はほぼ毎日巡回しています。また、電話でご注文いただくお弁当の配食サービスは1日約40件、店内でのお買い物品の配達サービスは1日約60件の実績があります。そのほか、お客様に喜んでいただくために、地元の商店街と連携して“うまいもの祭り”や“100円商店街”などの企画も積極的に実施しています。当店は商店街の中の店舗ということもあり、こうしたイベントに対するお客様の期待も高いですから。
―今後の抱負についてお話しください。
地場の食材や美味しさにこだわり、「地元の確かな味を全国の人に届けよう」という企業ポリシーのもと、安心、安全、そして地元の環境を大切にする姿勢は変わりませんが、これまで取り組んできた地域密着をさらに深化させ、商品づくりやサービスに反映したいと思います。そしてお客様に必要とされ続けるお店を目指していきます。