―お店の概要から伺います。
当店のある津市安濃町は、人口1万1千人、農家が多く、また大きな工場もあり就労人口も多い町です。そのため幅広い層のお客様にお越しいただける環境といえます。この4月で改装オープンから2年半が経過しました。改装に当たっては、当店に隣接してジップドラッグ様に出店いただき、より利便性が高くなりました。また、さらに買いやすい売場を目指して、徹底的にアイテムを見直し、客数アップにつながりました。一方、改装以前はこだわり商品を多く取り揃えていたグロサリー部門で、当店にしかない商品をお求めのお客様にご不便をかけることとなりました。そのため、お客様の声をより積極的に伺う目的でお客様アンケートを実施。その結果をもとに、ご不便をおかけしたお客様にも納得いただけるお店へと、商品構成、売場の見直しを行うよう心がけています。このことで、 私は一度の改装に満足せず、常にお客様の立場で、いわば毎日リニューアルオープンし続けるような気持ちを持つことの大切さを学びました。今年で店長4年目になりますが、ありがたいことに店舗運営のほぼ全てを任され、責任の大きさを楽しみながら日々仕事をさせてもらっています。当店では一切の会議がありません。私が意識的に各担当者とのコミュニケーションを密にとり、会議を不要にし、お客様に接する時間を増やしています。社長の考えを売場に反映できるよう、現場に最も近い私が陣頭指揮を取らせてもらえるからこそ、お客様目線の売場づくりがスピーディにできるのだと思います。
―周辺の商環境についてお聞かせください。
競合状況は一段と厳しくなっています。一昨年にはぎゅーとらさん、今年3月にはイオンのザ・ビッグさんが、それぞれ当店より車で10分圏内にオープンされました。当社は価格で真っ向勝負できる企業ではありません。特にザ・ビッグさんとは、同じ土俵とならないよう生鮮強化に注力しています。幸い、当店では、伝統的に鮮魚部門の支持が高く、地元のお客様のみならず、わざわざ遠方からお買い求めにいらっしゃるほど、鮮度・品質ともに高い評価をいただいております。商品に関しても、精肉ではお得感のある焼肉セットや、ホルモンの品揃えを強化。鮮魚では今まで以上に幅広い魚種を扱うなど、ディスカウントではできない商品化を行うことを心掛けています。青果については、鮮度が一番なのはもちろん、最もお客様の評価を受ける部門だけに、納得の価格でのご提供も重視しています。そして惣菜は、さらに手軽で美味しいものを提供していきたいので、研究段階ですが、耐熱トレーに調味したカット素材のみを入れ、電子レンジ加熱するだけで出来たて、美味しい惣菜が完成するような商品も販売したいと思っています。
―店長が目指すお店の姿とは。
ローカルスーパーで地域密着は当然のことと思いますが、「地域密着」を今一度見直します。競合店が増えてきた今こそ原点に立ち返り、お客様の立場に立った店づくりを目指します。これまでもアンケートなどでご意見を取り入れてきましたが、これからは全従業員がお客様との対話を一番大事にできるようにしたいと考えます。全部門がお客様の声を反映した売場になれば、どんな競合店にも負けないと思うのです。お客様が買いやすい量目、手に取りやすい陳列、納得いただける価格を、対話から教えていただき、しっかり反映させることが重要です。先日、あるお客様とお話していると「よそのスーパーにも行ったけど、あんたのところが一番あったかいなぁ」とおっしゃってくださいました。競合店の影響も受け厳しい時期でしたが、とてもうれしく、自分自身この言葉に救われました。これからぜにやが生き残るためには、こう思っていただけるお客様をこの地域で増やし続けることが大事なんだな、と腑に落ちた瞬間でもあります。安濃町の食を支えるのはぜにやであると常に意識し、これからも突き進んでまいります!