―新店舗の店長として留意されたことは。
「商圏の把握」と「店舗コンセプトの確立」を店長としての2大テーマとしました。まず自分で実際に歩いて商圏を回りました。町の雰囲気、家並みや住人の印象など、車ではわからないことが歩くとよくわかります。また、ごみの出方で、お店や買い物の量などの推測ができます。そこから住人の方々の特性を仮定する。次は、当店の1キロメートル圏内にある地元SMはじめ大手SMなどの競合店各店について、惣菜の手作り、生鮮のインストア比率、専門化、グロサリーの価格、EDLP、チラシ特売等々を調査して、商品選定、品揃えをしてSKUを決めていきました。当店の前の道はかなり交通量が多いのですが、東に向かう車の数、西に行く車の数を1時間調べました。火曜日は東が倍くらい多いのですが、その差は競合店に行っている分なのです。ならばその差を300台としたら、10分の1でも当店に来てもらうためにはどうするか、先方の品揃えと違う特色をどう出すか、突き詰めた結果「手作り」と「生活感」の2つをテーマにすると決めました。
―店舗コンセプトですね。
そうです、手作りと生活感にこだわった店づくりという浅香山店のコンセプトが決まりました。次は、当社の強みである、手作りや生鮮の強さなどを、浅香山店の強みとしていかに打ち出すかです。精肉であれば、競合店はアウトパック、うちは100パーセントインストアという、その強みの中でも、さらにどこを差別化していくのか、いわゆるカテゴリーマネジメントの考え方から、当店の特長を活かす最強のカテゴリーは何かを導き出していったわけです。
―では浅香山店の最大の強みとは。
当店においては、焼肉、お造りなどは、品揃え、価格においても競合店には絶対負けないという態勢にするということです。焼肉やバーベキューをしたいお客様は、確実にアプロに来ていただけるという状況を作ることによって、焼肉以外にビールや野菜、ほかの商品もお買い上げいただけます。そうした最強のカテゴリーを意識した店づくりを目指しています。
―部門別の特長についてはいかがでしょう。
買上点数の向上のための関連販売、前出しの徹底、品切れ防止などの基本事項について各部門で忠実に実践していくのは当然のことです。加えて青果については、いちばんは鮮度維持。価格も大事ですが、とにかくこだわるのは鮮度の維持です。鮮魚は、基本的には季節を敏感に感じ取って魚種を揃え、旬を打ち出すこと。たとえば、100円のサンマだけでなく大サイズを150円で売るというように、より質の良いものも売ることで、旬と質にこだわっていきたい。精肉に関しては、やはり焼肉。きっちり品揃えをして、きっちり価格も出してということころが肝心です。お惣菜は手作り和惣菜の人気が高く、品数、ボリュームとも力を入れています。お客様の支持が高く、売上構成比も高いのは、手作りの差別化の成果と思います。
―アプロの中の一番店に向けての抱負を。
新店というのは生まれてくる子供と同じ、出来がいいのか悪いのか全くわからない。親からしたら、全部出来のいい子と願うでしょう。でもそれは無理な話。しかし生んだからにはずっと育てていくのが僕ら店長の仕事と思っています。思えば、私がカノーへ入社するに当たり、決め手となったのは、事前の店舗見学で出会った、活き活きと楽しそうに仕事をする従業員全員の顔でした。従業員の笑顔は、お客様の安心へとつながります。初心を忘れず、「地域のお客様の生活を豊かに」するために日々頑張っていきたいと思います。