―岡谷店周辺の商環境について伺います。
岡谷市は諏訪湖に面して、ちょっと細長い形の商圏なのですが1km圏内のスーパーマーケットはディスカウンターのビッグワンさん1店舗のみで、現在は大きな競合店がありません。新興住宅が多い立地で、足元商圏は比較的30代の若い世代が多いのですが、山沿いになると年齢層が高くなります。当店では週末に年齢層が上がる傾向があります。
―岡谷店の商品コンセプトについて。
これはもう「健康的な食生活が幸せをもたらす」というキャッチフレーズに尽きます。まず、プライベートブランドの「美味安心」。すべて国産原料使用かつ添加物、化学調味料無添加の商品です。次にセカンドブランドの「ビミ・ドゥーエ」(ドゥーエはイタリア語で「2」の意味)。商品の特徴を生かすため、必要最小限の添加物などを使用した商品で、美味安心よりお求めやすいところが特徴です。そのほか手作りで美味しさに自信を持ってお勧めできる、「いちやまクオリティ」や糖質カット、糖質オフといった商品など。つまり、安心の部分では美味安心、ビミ・ドゥーエ、健康の部分では糖質オフのパンやお弁当、こんにゃくライスといった商品。また、美味しさを強調した部分では「いちやまクオリティ」という位置づけになります。ほかにも生鮮品で「鮮生」という金色のシールを貼った商品は、一度も冷凍していない鮮度抜群の商品です。一言で言うとほかが真似できない差別化商品、独自化商品を追求していくことではないかと思います。
―品ぞろえについてはいかがでしょう。
大きな競合店が無いため、差別化商品、独自化商品を置く必要はないのではないかと思いがちですが、決してそうではありません。NBの商品は価格競争になれば対抗できない面があります。またいちばんの理由は、岡谷店に来なければ買えないというメリットのある商品群をそろえたいということです。たとえば当店のナチュラルチーズは他店とは違った品ぞろえで、徹底して差別化しています。それは、そこにお客様のニーズがあると考えてのことです。当店では1万円以上のワインが売れます。我々とすれば、何より美味しいチーズとワインで心豊かになっていただきたいという思いがあります。年末には、私が受けたラジオのインタビューを聞いて、その日に松本からチーズを買いに来られたお客様もいらっしゃいました。やはりそういう物が必要なのだと実感した出来事でした。もう一つは、地元色が強いということでしょうか。年齢に関係なくお客様全般の傾向だと思います。日本酒でいえば地元の「高天」というお酒が売れます。地元酒蔵が多いこともあるとは思いますが、とにかく一升瓶がよく売れます。ワインもお隣の甲州ワインではなく地元塩尻のワインが売れます。地元の商品は外さないようにして、そこへさらに美味安心やビミ・ドゥーエなど、いちやまのクオリティを表す独自化・差別化できる商品を品ぞろえしていくことが大切になると思うのです。
―では具体的な商品についてご紹介ください。
まず青果は、入口正面に生産者の「太陽市」というコーナーを設けています。生産者が直接持ち込んで自分で値付けをして販売します。価格も店舗の価格に合わせるので圧倒的にお客様は鮮度のいい太陽市のものを買われます。この方法は我々も、生産者も、お客様もメリットがある三方良し。そこが成功の秘訣だと思います。また、太陽市の隣にJAS有機野菜の商品も陳列しています。JAS有機の認定商品は、それほどは扱われていないと思いますので、これも農薬を使わない健康の位置づけで差別化商品として販売しています。次に精肉は、三本柱として、いちやま漢方あか牛、和豚もち豚、健味鶏をメインとしています。なかでも、今いちやま一押しの漢方あか牛は飼料に漢方を配合することで脂質の濃厚さを堪能しつつスッキリした美味しさが特徴。社長が直々に生産農家に出向いて取り扱いを始めました。