―鮮魚部門について伺います。
鮮魚は、売り場の大きなパネルがアピールポイントです。この季節は、釜ゆでたらばやとらふぐなどのパネルを設置しています。特にふぐは2名のふぐ包丁師が、調理の難しいふぐさしやふぐちりを提供します。近隣では珍しいので差別化できる商品群になると思います。そのほか鮮魚寿司の品揃えに力を注いでおり、利益順では店内1位をキープしています。
―生の鯖がありましたね。
特に鮮度が高く、生の素材限定の「鮮生シール」を貼っています。長崎からの空輸で、夕方とれたものが朝10時には並びます。
―干物は一見ラップされていないような。
「ハイパック」といって、商品と包装材を密着させて真空パック状態にする方法です。ほとんど空気に触れないので、日持ちがするということと、冷凍焼けが防げるというメリットがあります。売る側としても管理するのが楽です。価格は高めですがよく売れますね。
―惣菜コーナーについて伺います。
惣菜は「いちやまクオリティ」を前面に押し出し、基本的にはいちやまオリジナルでクオリティが高い商品群を手作りにこだわって提供しています。またお弁当コーナーでは、糖質カットや糖質オフといった健康を柱に品揃えを行っています。
―ベーカリーコーナーも好調のようですね。
非常にコンパクトな売り場ですが、いちやま全店で1位の売上です。新しい取り組みはドーナツコーナーで、12個くらいのセット販売が、とにかくよく売れます。スタッフがいろいろ食べ比べて商品化しました。生産性もよく、頼もしいアイテムです。もうひとつの売りはスイーツコーナーです。これもいちやまクオリティの商品で、フルーツなどのデコレーションを手作りで提供しています。手作りの美味しさはもちろん、旬も出ますし見た目もきれいです。健康面を考えて作られたのは、ふすま粉(小麦の外皮)を使い、糖質を抑えた糖質カットのパンです。試行錯誤の結果、美味しくて糖質80%オフが可能になりました。ほかにも話題のココナッツオイルを使ったパンも販売しています。こうした健康の切り口で新商品をどんどん投入していこうと考えています。
―お客様の声を取り入れた例を。
そうですね、鯉の甘露煮という商品がこの地域のお祝いごとには普通に出てきます。小さな切り身が4つか5つで1600円と高めなので諏訪店開店の時には、こんな高いものは売れないだろうと品揃えしていませんでした。するとお客様から「鯉の甘露煮がない」と。それで岡谷店の時は最初から品揃えをして臨んだところ年末に大爆発しました。2店舗しか扱っていませんが現在では全店、全惣菜の単品の金額ランキングで15位くらいに入っています。地元のニーズを無視した形になった諏訪店の教訓、その解消を岡谷店でさせていただいたということになります。まだまだ地域のニーズの取り込みはこんなレベルではないと思っているので、お客様の意見をさらに吸収していきたいと思います。
―新店のこれからへの思いを。
新店というのは、1から10まで店舗のルールを決めていかなくてはなりません。小さなことですが、トイレのスリッパを揃えようとかこまめに消灯しようとか。世間では異物混入などもあって、入室時のローラー使用や、健康状態チェックなど、そういうことも含めて全員の習慣になるまで、ひとつ一つ毎日の朝礼の中で細かく呼びかけていくことが大事だと思います。もうひとつは、当然、自分たちが扱う商品の味を全員が知っていなくてはいけません。朝礼の試食会などで、みんなが美味しいと思えばそれをPOPに生かしたり、少し高めの商品なども試食して、斬新な意見や感想なども積極的に聞いていきたい。意見を出し合うことで全員のベクトルが合い、美味しいことが共有できればそれが売りにつながります