―昨今の釣具の市場について。
当店のお客様は、初心者からベテランまで千差万別ですが、共通しているのは、釣りという行動あるいは釣具という商品は、非常に指向性が強いものであるということです。最近は女性の台頭が著しく、私としては、釣りはファッションに通じるのではないかと考えます
―品揃えの考え方などを。
商品は、所有欲を満たすこだわりや機能性の高さ、流行や伝統的なもの、また釣り方による違いなど、嗜好性が高い業種だからこそ、まずは幅広い客層に向けてバランスよく揃えることが重要です。そして、特徴をお客様へ伝えることで、釣りという趣味をより楽しんでいただきたいと願っています。何はともあれ、お客様に喜んでいただくことが、私たちスタッフの喜びです。
―売り場づくりのこだわりは。
必要なものを必要なときに購入していただけるよう、地元高知の四季に応じた品揃えが基本です。その季節の商品は、品切れがないように在庫量を多くするのはもちろん、魚種別にロッド(釣竿)コーナーなどを作り、初心者にもわかりやすいよう工夫しています。
―接客で工夫しているところは。
私も釣りが趣味なので、お客様には、私の釣りの知識やノウハウをできるだけお伝えしたいということが基本的な接客のスタンスです。それはスタッフも同様。釣りにも色々な種類があります。渓流・川・湖・海、その中にも餌釣りからルアー、フライなどなど。それらの要素を、いくつかのカテゴリーに分けてスタッフが担当します。なるべく自分の得意分野を担当得るようにして、商品の使いかってや、お客様の予算、フィッシングスタイルなどを伺い、お客様に合った商品をアドバイスできるよう心がけています。最近では女性のお客様も多く、その際は釣り好きの女性従業員が対応し、女性ならではのきめ細やかな接客も喜ばれています。私たちの接客には従業員一人ひとりの「自分が楽しむなら」という想いがある。商品やお客様への思い入れもひとしおなのです。
―ユニークなイベントがあるそうですが。
従業員とお客様や、お客様同士の交流の場として、季節に合った釣り大会の開催や、ネットで投稿していただく「フォトダービー」を開催しています。現在、各釣り具メーカーは若い女性層や若年層の取り込みに向けた販促に力を入れていますが、「地元企業でも何かできることはないだろうか」という想いが通じて、高知放送主催で、株式会社サニーフーヅの回転すし店「寿し一貫」との共催による「親子釣り教室&すしグルメ大会」のお話をいただきました。2012年から年2回開催しています。お客様が自分たちで釣った魚をプロの職人にお寿司にしてもらい、食べていただくというこの企画は、運営を地元放送局、釣りの部を「つりぐの岡林」、食事の部を「寿し一貫」担当しています。参加費をいただいていますが毎回抽選で参加者を決めるほどの人気企画となっています。
―人気イベントの効果について。
この企画により、ファミリー向け釣具の販売や、お子様連れの来店が見られるようになり、少しずつですが、新たな顧客層開拓につながりはじめています。また、寿し一貫でも地元の鮮魚が人気商品となったり、魚嫌いのお子様が食べられるようになっtり、参加いただいたお母さんがランチの常連になるなどの効果が現われ始めています。私自身、お客様との距離が確実に近づいていくのを感じています。今にして思うと、こうした取り組みが、さしたる問題もなく実現した背景には、高知県下で展開される「ハーティポイント」という地域共通ポイントの存在が大きいと思います。これからもいろいろな業種、企業との取り組みの可能性が広がることを期待しています。