去る10月3日、台風16号の影響による小雨の中、よしや大塚店2号車の出発式が行われました。よしや小泉社長は挨拶の中で「今後さらに高齢化が進む中で、お客様がご自分で商品を見て買える楽しさと、週2回顔なじみの人が来てくれる安心感があり、御用聞きもしてくれる。買い物の楽しさと、心の潤い、安心感も一緒にお届けできるようバックアップしていきたい」と、とくし丸への可能性に大きな期待を寄せられました。続いてブルーチップの宮本社長は、無事出発式を迎えたことに祝辞を述べ、今後の事業発展を祈念しました。この日初乗務となるのは、個人事業主の渡辺明雄氏。1週間ほどは、株式会社よしや移動販売責任者の田中氏、ブルーチップ株式会社とくし丸事業部の堀内氏の心強い協力を得ながら本格始動していきます。この日が初乗務となる渡辺氏に伺いました。
―初日を終えての率直な感想を。
全く余裕がなく、思考停止状態でした。相当ハードだという実感です。お客様の対応、レジの操作、お金の受け渡しなど、何でもないこともプレッシャーになり頭が真っ白。その連続で単純なことも思うようにできませんでしたね。ただ、開業するわけですから、ハードなのは当然で、あとは自分の頑張り次第だと思います。
―とくし丸を始めたきっかけを。
今までは、やはり生活イコールお金を最優先にやってきて、これからあと十何年かわからないですが、少しは社会的に貢献できる仕事をしたいと考えていました。子供たちの就職が一段落したこともあり、タイミングも合いました。とくし丸をメディアで見たことはなかったのですが、富裕層も含めた高齢者をとりまく社会問題に合致するビジネスを探していたときにたまたま出会ったということです。
―顧客の開拓もされたのですね。
需要開拓には全コース関わりましたが、一軒一軒、需要を聞きながら、自ら販売コースを作るこの仕事はおもしろい感じました。全体的には、創業70年以上という地元の知名度、信頼度抜群のよしやさんならではの安心感から、開拓もスムーズでした。東京では、いわゆる象徴的な買い物難民と言われる地方の過疎地域と比べると、お店が無いという環境ではありませんが、都内で買い物に行けない方々は、健康問題等、本当に切実な状況です。私自身は営業が長く新規開拓のローラー作戦は得意でしたし、ニーズは間違いなくあるので、お客様ならいくらでも獲得できる感覚でした。ところが、「営業感覚でお客様を引き込んでしまうと失敗する」とアドバイスされ、とくし丸を必要とするお客様を探すことに徹しました。
―商品の品揃えについて。
昔からの定番商品中心の品揃えが基本ですが、恵まれているのは、よしやさんが良い商品を扱っていることに加えて、大塚店は売り場面積も広く、良い商品が豊富だということ。高価な商品や珍しい商品などを幅広く選べます。
―今後の抱負について。
この仕事を続けるには、お店とお客様との良い関係を作り、自分が必要とされていることが実感できるかどうかだと思います。売上を追いかけるのではなく、毎日自分を待ってくれているお客様を増やすことができれば、大きな心の支えになると思うのです。最後に感謝の言葉を伝えたいのですが、ブルーチップとくし丸事業部の堀内さんのサポートには本当に助けられています。特に仕事に妥協しない姿勢には感心させられます。それから、よしや移動販売責任者の田中さんの存在。商品知識や自身の経験などの助言や、お店との橋渡し役としても尽力いただいています。私は、お客様の関係性の前に、お店との関係がとても大切だと思っています。とくし丸は、私も初めて、大塚店のスタッフの皆さんも初めてです。ありがたいことに店長をはじめ部門責任者の方々の配慮で、スタッフの皆さんが働きやすい協力態勢を作っていただいています。