需要開拓は「聴く」ことから
株式会社とくし丸主催による第1回ジャンプアップセミナーがオイシックス本社(東京・五反田)で5月27・28日に開催されました。セミナーの目的は文字どおり売上のジャンプアップを図るための問題提起と解決策の発見、そして、その共有を図ること。参加者は全国のスーパー各社でとくし丸業務を担当する18社26名の皆さん。売上が思うように伸びない要因を3つのカテゴリー、コース開拓の課題・販売パートナーの課題・組織の課題に分け、2日間に渡り課題の解決方法を討議し、最後には明日からするべき具体的な活動計画を参加者各自が「宣言」として発表しました。また、コース開拓の課題で取り入れたロールプレイングでは、グループごとに需要開拓担当者とおばあちゃん役を設定。おばあちゃん役には住友社長も参加。おばあちゃんの鋭い対応に開拓担当者もタジタジの場面がありながらも、課題の発見、解決策のヒントが浮き彫りになりました。総評として住友社長は「9対1くらいでしか私が喋れていませんでした。ニーズを探るための需要調査なので、インタビューするスタンスです。語尾に必ずクエスチョンマークが付く言葉で聞いてください。そして最後は、『お伺いしますね』ではなく『お伺いしますがよろしいですか?』と尋ねて、相手から『お願いします』と意思表示していただくことが大事です」と、調査するということの意識にチャンネルを切り替えることの重要性を強調しました。
前向きな人を採用する
次に、住友社長を交えて対談形式で行われた株式会社天満屋(岡山県)の櫻間氏と、株式会社Tサポート(徳島県)の村上氏の対話から、主に販売パートナーの課題、組織の課題についての部分を抜粋します。
住友「天満屋さんが最初から順調に台数を伸ばせたのはどうしてでしょうか」。
櫻間「2015年1月に1号車、私が2号車、5月に個人事業主第1号が誕生しました。当社の強みは頭数です。3名の正社員とドライバーが1名、私がフリーになれたことで、販売パートナーさんにもできるとくし丸の仕組みを構築でき、年10台ができたのだと思います。その後西と東のエリアに主幹を置き私が統括するようにしました。役割分担を徹底することで、西と東で交互に開業ができましたし、多い時は3台同時ということにも対応できました」。
住友「個人事業主の採用基準を」。
櫻間「8割方は、電話、会った時、言葉遣い、行動など初見の印象です。前向きな人は、こちらのアドバイスにもチャレンジしてもらえるので特に重要視しています。そして、個人事業の経営者としての覚悟をお持ちの方かどうかです。また、私より年上の方がほとんどですが、私を上から目線で見る人は、お店との良い関係ができないので難しい。それから、面談後に車の助手席に1日乗ってもらい、運転席の販売パートナーさんの意見を参考にします。同時にほかの方の意見も聞いて私の判断と合わせて最終決定します」。
心のケアとコミュニケーション
住友「Tサポートの村上さんは27名の個人事業主を抱えていますが、パートナーさんへの指導、教育などについてお話しください」。
村上「いちばんの柱は毎月1度の面談です。社員2名で休憩室を使って1時間程度で行います。日々の販売の中ではこうした研修会などで得た情報を伝える場もありません。販売パートナーさんはいわば孤独といいますか、元気そうに見えても悩みもあります。そういうものをなるべく聞き出すようにしています。とは言っても、1時間の半分ほどは雑談です。雑談の中からポロポロ出てくることのほうが多いのです。我々の役目は、基本的には、やみくもに売上を上げようとするのではなく、販売パートナーさんがどうしたいかを形にしていく、そのサポートをするということだと考えています。長く続けてもらうためにメンタルの調整はとても重要なこと。スーパーの皆さんと販売パートナーさんとのコミュニケーションの時間は今後ますます大事になっていくと思います」。