需要開拓は「聴く」ことから
ー桜井南店はどんなお店でしょうか。
ヤマトーでは、常に地域密着を心がけ、現在桜井市に桜井南店、隣接する橿原市に八木店の2店舗を運営しています。桜井市は少子高齢化が進み、人口は右肩下がりの傾向です。競合状況としては、幹線道路の開通を契機に、ディスカウント系の店舗が続々と開店し、過激な安売り合戦が展開されていました。当然、資本力のある大企業には到底勝てませんし、ヤマトーのファンは増えません。そこで、3年前から路線を変更し、他店にない商品、大手が扱わない商品の品揃えを強化し、お客様に楽しんでいただける企画も充実させるようにしたのです。
ヒットのために飛び回る!
ー商品と企画の大規模な見直しですね。
品揃え強化のために、お菓子を中心に地方のメーカーさまに直接取引をお願いし、3年間で100社以上と新規の取引をしていただきました。イベント企画では、毎月開催している「ご当地フェア」が大好評。おかげさまで商品調達のために全国を飛び回るため苦労が絶えませんが、地方の隠れた逸品が大ヒットしたときの喜びは格別です。信州・北陸フェアでは地元で有名な「越前竹田谷口屋のおあげ」を販売、498円という価格にも関わらず即完売。お菓子類などは、どの地方の商品も飛ぶように売れていきます。
「こだわりの商品」の充実!
ー各部門での品揃えも見直しを。
安さを大切にすることはもちろんですが、一番はズバリ、「こだわりの商品」です。お客様へ本当におすすめできる商品を調達するために、担当者それぞれが誠心誠意取り組んでいます。鮮魚は毎週、徳島漁港まで競りに赴き、鮮度抜群の魚を販売。精肉は、熊本県の契約農家のプレミアム牛「和王」を販売。自家製の「お肉屋さんの惣菜」にも力を入れており、「和王」を使ったローストビーフや宮崎県の「おいも豚」を使ったローストポークなどがあります。「惣菜勉強会」仕込みの女性パートさんがスチームコンベクションで調理したものや、様々なソースを使ったカルパッチョも提案しています。青果も、最旬のものを調達しに産地に行きます。和歌山の契約農家丸藤農園の完熟みかんや梅、岩手県の樹上完熟蜜入りリンゴは1日700個を完売。お客様の「この間買ったもの最高においしかったよ」の声に「安い商品ではないのにありがたい。よし、もっとおいしい物を探すぞ」と気合が入ります。さらに、2年前に移動スーパーとくし丸もスタートし、今秋には4号車が開業予定です。こだわりの商品はとくし丸のお客様にも大人気で驚くほどのリピート率です。1個200円以上する小南農園の田村みかんゼリーを買ってくださったお客様が電話で「おいしかった!残ったら帰りにもう一度寄って」と残り全てを買っていただいたことも。ほかにも毎月開催のコストコセール、「美味安心」や「成城石井」など話題の商品や健康にこだわった商品も取り扱っています。
「こだわり」にこだわりたい
ー商品調達の方法について。
取引先の金融機関や商工会の紹介による、商談会やビジネスマッチングなどで、月に何度かは現地を訪ねます。はじめは、わずか2店舗の当社と取引していただけるか不安でしたが、逆に「人口が減り、地元の消費だけでは難しくなってきた。といって、大手に卸せるほど生産量もない。うちの商品を広めてくれるなら本当にありがたい」とよく言われます。全国の生産者の自慢の品や守ってきた味を、少しでも多く食卓にお届けしたい。安売り一辺倒だった当社が、やっと「最近ヤマトーの売り場おもろなってきたなあ」と言っていただけるようになってきました。「ヤマトーに行ったら何かやっている」「必ずおいしい物に出会える」。そんなふうに言っていただけるお店を目指して、これからも「こだわり」にこだわり続けます。